夏草の賦
2008/11/27 木曜日 – 16:20:22
書名:夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)
著者:司馬遼太郎
自分史を作成するうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を作成するときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。
四国の雄 長曽我部元親の物語。
彼は思う。「近畿に生まれておきさえすれば、我こそ天下を取ったるものを」と。
彼にすれば、織田信長も豊臣秀吉も、武将としてかなわない相手ではないと。
その野心の元、土佐の一郡の郷士であった自分が土佐一国をやがて四国全土の覇者となり得たのだと。
印象的なことは3つあります。
1つは、息子信親への思い。
自分は土佐の一郡からの成り上がり。四国を取ったことはゴールに近い。
お前は四国の覇者の息子、日本の天下を目指すのは道理。
創業者と2代目の意識の差を元親を通して、司馬遼太郎が言っているのでしょう。
1つは、臆病を誇ること。
一回の郷士が四国の王者になれたのは、臆病ゆえの慎重さと策略だと。
力自慢だけでは戦には勝てないのだと。
これを臆病とは言わないと思いますが、主旨はよくわかります。
もう1つは、秀吉に屈したあとは、とことん屈するところ。
潔さも生きていくためには必要なことだと思いました。
処世術として考えさせされることの多い作品です。