歪んだ複写
2008/11/8 土曜日 – 16:34:14著者:松本清張
自分史を作成するうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を作成するときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。
新潮文庫の場合、表4のカバーに本の紹介がある。それによると、
「税務署の驚くべき内情を描く」とある。
これにつられて読んでみたのだが、「ありゃまー」と思うことはあっても「驚くべき内情」と思う人はいないのではないかと思った。
こんな誘い文句を書く人がいるから、真っ当な誘い文句が埋もれていくのではないかと思う。
とまあ、悪口はこのくらいしか見たららないのがこの小説だ。
松本清張の小説をここ最近読み続けてきてようやくわかったことが、探偵役は出だしでは決まっていないと言うこと。
今回もいったい誰が犯人で誰が犠牲者で誰が探偵なのか、よくわからないまま1/4ほどを読んでしまった。
多分、この新聞記者が探偵なんだろうと思うものの、ほかの小説で裏切られたことがあるのだ。
そのくらい、松本清張は構成に凝っているので予断を許さないのだ。
しかし、終わり方はあっけない。
予想外の犯人が予想外の動機を示すモンだから、松本清張は人を信じる性格だったんだと思った。