魔術はささやく
2010/4/11 日曜日 – 11:12:51
書名:魔術はささやく (新潮文庫)
著者:宮部みゆき
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
先日、彼女の『パーフェクトブルー』を読んだばかりなのだけれど、そのときアマゾンレビューに、この小説(パーフェクトブルー)には欠点があるのだが、それは『魔術はささやく』で乗り越えられている。ということを書いている人がいた。
パーフェクトブルーの欠点というものを気づかなかったのだけれど、そんなにスゴイなら読んでみようと思って読んだ次第なのだ。
相も変わらずパーフェクトブルーの欠点は分からないが、『魔術はささやく』の完成度の高さはよく分かった!
面白い小説というものは不思議なものだ。
なぜ普通の高校生の守が事件の真相に迫っていくのか、ちょっと不自然なはずなのに、読者でいる限り、その不自然さを感じない。守と一緒になって真相を知ろうと読み進める。
友だちに被害が及んだことを機に逆に脅しをかけるくらいの度胸があるのに、なぜ守が三浦にいじめられているのか、ちょっと不自然なはずなのに、読者でいる限り、その不自然さを感じない。守と一緒になって、次は許さないと読み進める。
などといった不自然さはこれ以外にもあるのだけれど、まだ読んでいない人のためにここでは書かないが、その不自然さをちっとも感じないように読み進んでいく。
これこそ、宮部みゆきの『魔術』なのかもしれない。 まさしく、魔術はささやいたのだった!