虚線の下絵

2010/4/4 日曜日 – 11:48:42


書名:虚線の下絵 < 新装版> (文春文庫)
著者:松本清張

自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。

松本清張の小説ばかりを読んでいると、松本清張のうまさが標準に思えてきて、これは駄作だとか、これはいいとか、これは手抜きだとか、ご託を並べることになる。
実際、ぼくの感想もそうなってしまっているかもしれない。というのは、ここんところ他の作家の小説を読んでいて、久しぶりに松本清張を読んだから、そう思ったのだ。
うまいのだ! 話に引き込まれていくのだ。
あるいは、この「虚線の下絵」に書かれた小説のできがいいのかもしれないが。
ただし、首相官邸を除く。

松本清張は推理小説が最も有名だが、松本清張の特長は、名探偵を作らないこと。
事件解決に挑戦するのは、普通の人々であり、かつ火の粉がかかった人だ。
例外もあるけれど。

それはつまり、その。松本清張は、普通の人々を描きたくて作家になったのだからではないかと思うのだ。
『与えられた生』、『虚構の下絵』、実によい。
『通過する客』は、主人公の心の動きがリアル。

解説の岩井志麻子もいい。岩井志麻子の小説も読みたくなってくるほど、いい。

自分史を書くならわたし本の文研ビズ

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