雲ながれゆく
2008/7/15 火曜日 – 16:05:12
書名:雲ながれゆく (文春文庫)
著者:池波正太郎
自分史を作成するうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を作成するときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。
ぼくは週末、家にいるときは半身浴をすることにしている。
それも1,2時間も入っている。
当然、時間を潰すためのツールが必要になるわけだが、それが本なのだ。
電車の中でもよく本を読むのだが、小説のようなものを一気に読んだ方が面白いので、この半身浴長風呂に最もふさわしいのは小説なのだ。
お気に入りの作家は、清水義範、宮部みゆき、西村寿行、そして池波正太郎ということになる。
最近いちばん読むのは、池波正太郎なのだ。
そして、この「雲ながれゆく」だ。
主人公は「お歌さん」
3年前にご主人を亡くし、店は弟の福太郎に譲ったのだが、福太郎がしっかりしていないため、店を切り盛りしている。
そして、福太郎はそれをすねているため、とうとう実家(兄が継いでいる)に戻ったところ、義姉が病弱のため、実家(料理茶屋)を手伝ってくれといわれるという、しっかり者なのだ。
そこに、仇討ちを背負い込んだお侍さんと、めっぽう強い謎の浪人物が絡んで、途中で読むのをやめられなくなるというわけだ。
お風呂の時間だけでは読み切れず(346ページ)、寝床の中で最後までを読んでしまった。
しかし、不思議だ。
結局、お歌さんは、店の者を仕切っているといいつつ、やっていることは昔の味に戻せというのと、お得意様回りだけなのだ。
具体的な活躍はないのだけれど、池波正太郎の筆力により、とても魅力的な人になっているのだ。