近世村人のライフサイクル
2008/7/4 金曜日 – 18:58:46
書名:近世村人のライフサイクル (日本史リブレット)
著者:大藤修
自分史を作成するうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を作成するときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。
近世というと戦国時代だ。
農民は搾取されていて、戦になると家も田畑も焼かれるという被害者だ。
というような印象しかなかったのだが、ところがどっこい。
村には村の秩序があり、家と村を守っていくというしきたりもあるのだ。
この本では、農民が弱者ということとは無関係に、近世の村人はどのような秩序でもって暮らしていたかを解説している。
つらく厳しい話がないけれど、このように自治が行われていたのだ。ということがわかる。
今よりも公正な部分もあったりするのだ。
だからとって昔が良かったとは思わないが、300年経って、手に入れた幸福もあるけれど、失った幸福もあることがわかる。
すべてを失わずにいいとこ取りをしたわけではないのだ。
現代では、個人の人権が尊重されて、それはとてもよいことなのだけれど、「社会のもの」という意識はプライバシーの干渉だけれど、弱者にとっては必要だったものではないかと思う。