隠し剣孤影抄
2009/4/7 火曜日 – 17:48:39
書名:隠し剣孤影抄 (文春文庫)
著者:藤沢周平
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
ただひたすら強いだけの剣豪小説も面白いのだけれど。
藤沢周平の世界では、そんな人は出てこない。
めっぽう剣の腕は立つけれど、酒と女にだらしなかったり、お金に抜け目なかったり。
この隠し剣シリーズでは、不倫している剣士や臆病で仕方ない剣士がいる。
ブスな女剣士もいる。ただし、このブス剣士、旦那のために果たし合いの身代わりを務め、見事的をやっつけ、「オレの間違いだった。これからは仲良くやろう」と改心させるという涙もの。
ほかにも、藩を守るためにいいように使い回され殺されてしまう人など、現代社会では命のやりとりはないけれど。
命を名誉や地位や富に置き換えれば、現代社会をよく観察している小説なのだ。
それでも、この本に出てくる8人の剣豪は、人生を後悔しない。
うーーん、ほれぼれする。