凶刃―用心棒日月抄
2009/3/15 日曜日 – 15:28:51
書名:凶刃―用心棒日月抄
著者:藤沢周平
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
藩内きっての剣士 青江又八郎も歳をとる。
ヒーローもまた人間、四十を越して、腹に贅肉も付いたという。
そこはリアリズムの藤沢小説。
山岡荘八や吉川英治のような通俗小説とは、ファンサービスのベクトルが異なるのだ。
どちらに優劣を付けるものではなく、目指すもの期待するものが異なるだけだけど。
佐知も四十に手が届こうとしている。
しかしながら、佐知は相も変わらず美しいままだそうだ。
美しい女が歳をとらないのもまたリアリズムなのだ。
そして細谷はすっかり老いて、この「凶刃―用心棒日月抄」では何も活躍しない。むしろ月日のたったことを強調する役回りになっている。
アル中でダメになっている。
おなじみの痛快チャンバラ小説なのだけれど、この「凶刃―用心棒日月抄」では、人の老いも描かれている。
もうあと10年ほどたって、青江又八郎と佐知が茶飲み友だちになっているところも読みたいものだ。
読めないのだけれど。