中国人は恐ろしいか!?

2008/4/19 土曜日 – 15:04:13

書名:中国人は恐ろしいか!?
著者:尚会鵬、徐晨陽

自分史を作成するうえで、市販の書籍を参考にすることはよいことだと思います。もちろん度を超して盗作になってはいけません。
プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
また自分史として自分の知識と経験を綴るにしても、情報収集は必要です。取材に行くこともあるでしょうし、参考文献を読破するも必要なことです。
ここではわたし、野見山肇が読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。

サブタイトルには「知らないと困る中国的常識」とあるのだが、ちょっと寂しい内容だった。
この本のテーマはいったい何だったんだろうか?という謎が残るのだ。
カバーの折り返しには、この本を読めば先頃勃発した日本総領事館事件のメディアが報道しない本質が見えてくるとある。見えてこない。

日中相互理解のために出版したというが、相互と幅を広げずに「中国の人と接する前にぜひ読んでおきたい本」にすればよかったのに。
理解し合えない人が多いのなら、それほど違っているのなら、対象読者として両極を狙うという時点でテーマを絞りませんと宣言していることになるのに、どういうつもりなのだろう?

記述している題材についてはどうだろうか?
日本人と中国人(台湾人を含む40人のインタビューしたコラムとその解説からなる構成だが、これについてはいいも悪いもない。
40人への取材結果なのだし、おそらくはこれ以上の人に取材してよかったモノを40件記述したのだろう。
単なる悪口や苦情に終わらすことで現実感を出そうと言うことかもしれないが、見ず知らずの人の話す悪口や苦情は退屈!

では構成について考えてみる。
インタビューに続いて、その解説が始まる。そして各章の終わりに総論がまとめられている。解説と総論の区分がわかりにくい。
日中相互理解というが、日本人を「分析」しているときは中国の人に限らず全世界の外国人に対しても通用するようだし、同様に中国人を「分析」しているときは、日本人だけでなく全世界の人に対していっている気がする。
そもそも日本語の本なので日本人向けの中国人理解のための解説書でよかったのに、色気を出して日中相互理解なんてのがいけないのだ。
解説も日中の差というより人の多い都会と人の少ない田舎の差で解説している部分もあり、それではインタビュー事例が不適切だったことになる。ふふーんなるほどと読者をうなずかせるための努力が著者の原稿からは読み取れない。
知識や学はあるのかもしれないが、この本を書く仕事をさらっと流したような印象なのだ。才能や知識や学のある人であることは伝わってくるので、その力を原稿に表現してほしいモノだ。

文章表現については、ライターであることがわかる出来になっている。
解説は学者の先生で原稿書きをライターさんという組み合わせなので、両者の意思疎通が悪かったのかもしれない。どちらか単独でまとめた方が面白かったのかもしれない。

チョイ上の自分史わたし本なら文研ビズ

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