ゼロの焦点

2009/1/4 日曜日 – 16:12:46


書名:ゼロの焦点―長編推理小説 (カッパ・ノベルス (11-1))
著者:松本清張

自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。

松本清張と言えば、点と線、ゼロの焦点、が2大名作だろうか。

推理小説としては、点と線のほうが完成度が高いだろう。
犯人捜し、トリックあばきという推理小説の王道を追いかけたものだから。

では、「小説」としてはどうだろう。
こちらはゼロの焦点に軍配が上がる。
ただ不思議なのだ。人物設定も、それぞれの人物の行動も不自然なのだ。
中心人物の鵜原憲一はなぜ、偽名を使ってたやすく他人になりすませられたのか?
なぜ鵜原憲一は、過去の知人、千佐子と久子に偶然であるのか?
何故、真犯人はたやすく人を殺せるのか?

そしてついに、主人公の禎子は、名探偵でもないのだけれど、周りの協力者たちの動きを逐次整理して、やがて真犯人に迫るのだった。

真犯人は、人殺しなのだけれど、その罪を感じさせないのは、戦後の混乱期のやるせない状況を背負っているから。
ぼくは、その時代を知らないけれど、まったく戦争把握だということがよくわかる。
あるいは、犯行シーンを松本清張は描かないから?

ただ、金沢や石川県は、そんな暗い街ではないのにね。
ほころびはいくつも見えるのに、とらえて放さない、不思議な小説、ゼロの焦点

チョイ上の自分史わたし本なら文研ビズ

  1. One Response to “ゼロの焦点”

  2. とってもケッタイな本だと思います。
    っていうか、いくつか読みましたが松本清張の本って、どれもこれもろくでもないと思う。
    どこが「社会派」なんだって思う。
    ただ単に舞台設定が「社会」であるだけのこと。
    「小説」っていうより、この人ってプロットだけでしょう?
    作品はどれもこれもアイデアだけはよく、それ以外の内容はいたってお粗末なので、それは脚色のし甲斐があると思うのですよね。脚色しなければいい作品にはなりようがございませんし。できるだけ原作には不忠実である方がいいので、脚色しやすいし、脚色し甲斐もあるのだろうと思う。 だから繰返し映像化されるんですよね。

    By ゼロの焦点は on 3月 15, 2011

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