黒地の絵
2008/12/11 木曜日 – 14:40:57
書名:黒地の絵 (新潮文庫―傑作短編集)
著者:松本清張
自分史を作成するうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を作成するときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。
松本清張というと推理小説の大家という印象を持っているのだけれど、この黒地の絵では心境小説というか、ふつうの小説というか、事件があって犯罪があって、というモノは出てこない。
出来事があって、それを巡る人たちの気持ちが描かれているのだ、それもぞっとするくらいに。
女心を描ききれなかったのが「二階」
ストーリーとは裏腹にすっきりするのが「拐帯行」
やりきれない思いになってしまうのが「黒地の絵」
めんどくさいのが「装飾評伝」
(脇役が)やっちゃったよ-と思うのが、「真贋の森」
(主人公に)しっかりしろよと言いたくなるのが「紙の牙」
かわいそうにと思うのが「空白の意匠」
女心はやっぱりわからないと思うのが「草笛」
笑ってはいけないけれど笑いたくなるのが「確証」
空白の意匠と確証は、コメディ小説としてリライトしたくなるほど、そそる題材だ。