死の枝
2008/12/9 火曜日 – 8:46:56
書名:死の枝 (新潮文庫)
著者:松本清張
自分史を作成するうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を作成するときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。
これは推理小説なのか? こういう推理小説もありなのか?
ありとすれば、なんとぼくの頭の固いことか! 先入観、ぼくは持っていないと思っていたら、まだまだ色眼鏡で見ていたということがよくわかる。
松本清張といえば、「真面目」に推理小説を書く人だと思っていたが、こんな実験的なこともやっていた。
探偵役の人が推理して、犯人側の仕掛けたトリックを見破るのが推理小説なのだけれど。
この「死の枝」には、異質の小説がそろっている。
トリックは見破っているが、その証明はされていない。想像だけで終わっているとか。
エッチな本を読み聞かせて興奮したので、あいつはニセ狂人だとか。
トリックは見破ったが、それは犯人逮捕にはつながらないような、とか。
妄想だけとか。
とにかく、これでは推理小説として未完成なのではないかと思うのだ。
しかし、小説としてはこれで十分面白いのだった。
松本清張。底の見えない作家だ。