強き蟻
2010/3/7 日曜日 – 17:57:23
書名:強き蟻 (文春文庫)
著者:松本清張
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
松本清張といえば、3大有名作品は、点と線/砂の器/ゼロの焦点、だろうか。
でも、ぼくが選ぶ3大作品となると、色気もあって、他のを選びたいと思う。わるいやつら/夜光の階段/天才画の女。
推理ものというよりは、犯罪者が、その意識薄く、自己都合的に犯罪を重ねたり、深みにはまっていくのが好きなのだ。
松本清張のことを推理作家というより、心境小説家と思っているので。
そして、この「強き蟻」はぼくの好きな小説なのだ。
何ともまあ、身勝手な伊佐子。悪女というものは美しさも兼ね備えているのだが、この小説を読む限り、そんなにかわいい感じはしない。
小太りのおばさんとして描かれているようなのだが、男運は強いのだ。
現実の社会に、こんな人及びそれを取り巻く人々がいたら、とても凶悪な人たちのはずなのだが、松本清張が描くとそんなに憎たらしくなくて、
「あらあら、またこんな悪巧みをして」などと、仏様になった気分で、すごく高いところから、彼女たちの行動を見ていられる。
「だめだぞ、だめだぞ」などと思いながら、人間ってしょうがないと思うのだった。