隠花平原

2009/10/19 月曜日 – 10:28:18


書名:隠花平原〈上〉隠花平原〈下〉
著者:松本清張

自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。

松本清張の推理小説の特色の1つは、名探偵が登場しないことだ。たまたま事件に巻き込まれた人が真実への好奇心や義憤により、真犯人や真相に迫っていく。中には、刑事がそのまま名探偵ぶりを発揮するものもあるけれど。
不思議なのは、たまたま事件に巻き込まれた人は、活動費は全部自腹なのに、費用の心配をせずに、各地を飛び回り、急ぎの場合はタクシーを使う。仕事も中断だ!

では松本清張は生活感をまったく描かない作家なのかというと、そんなことは全くなくて、名探偵以外は舞台設定から言動まで、昭和30~50年代の風俗研究にも使えるのではないかと思えるくらい、精密な描写になっている。
つまり、探偵訳は、透明人間というか黒子なのではないかと思っている。

隠花平原の探偵役は最初の被害者の義弟、若手画家の山辺さん。
真相に近づくことは出来るが、解明は出来ない。最後は犯人から手紙をもらって真実は明らかに。
松本清張のときどき使う手だが、「禁じ手だよ」と思っている。

自分史を書くならわたし本の文研ビズ

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