わるいやつら
2009/10/10 土曜日 – 8:37:35
書名:わるいやつら〈上〉 (新潮文庫)、わるいやつら 下 新潮文庫 ま 1-9
著者:松本清張
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
松本清張といえば、日本を代表する推理作家なのだけれど、ぼくの印象では、日本を代表する心理小説家なのだった。
清水義範の心理小説もおもしろいが、松本清張には、「深刻な」心理小説を書けるということで、読み応えがあるのだ。
この悪い奴らは中でも傑作だ。松本清張は、この中の登場人物のいったい誰がいちばん「悪いやつ」と思っているのだろう?
あとがきの小松伸六さんによれば、槇村隆子だそうだ。
ところで、この本を読んでいて、不謹慎にも「これはコメディではないのか!」と思ったのも事実だ。
主人公の戸谷信一は、ワルのはずなのだが、どうにも間抜けというか、世の中を軽んじているというか、それはコメディの主役の言動そのままだ。
不思議だ。それなのに、深刻な社会は小説として読んでしまうのだから。