流言とデマの社会学
2009/7/3 金曜日 – 16:49:22
書名:流言とデマの社会学 (文春新書)
著者:廣井脩
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
小学6年生のときに、流行ったデマがある。「鹿島の幽霊」というものだ。
鹿島地方に住んでいて原爆を浴びて死んでしまった人が、原爆は本来北九州市をねらったものだったのに、天候が悪かったので長崎に落としたことを、北九州の人へ恨みを持っていて、今度の夏休みに北九州市はおろか、筑豊の人にも祟りにやってくる!
という話だった。
夜寝ていると、原爆並みの熱や爆風を浴びて、布団にくるまっていても無駄。ねらわれた人は逃げることはできない。
ということでもちきりで、夏休みになったらどうしよう、幽霊は明るいところが苦手だと思うので、電気をつけて寝たらいいのではないか、と友だちどうしで知恵を出し合ったものだ。
この本には、鹿島の幽霊は出てこないが、口避け女の話も出てくる。そして、社会学的に分析している。
分析といいつつも、そのボリュームは小さく、本全体の割合からは、どんな流言・デマが流れたかがよくわかる。
そして、そのデマにより、どんな社会現象が起こったのかも解説している。
小学生や中学生にとってはとても恐怖を覚えるものだが、大の大人たちも、流言デマには、振り回されている。
実際にパニックが起こったり、風評被害になっているし。
テレビ朝日ニュースステーションも、放送直後は、JA埼玉は何をやっているんだと、まさにテレビ制作会社の罠にかかったし。
(結局はデマに振り回されたのだけれど)
過去の流言デマの歴史をひととおり読んでおくことで、これからの流言デマに振り回されなくなるのなら、この本を読んだこと、とてもよい経験になると思う。
振り回されやすいと自覚している人は是非読んでおいてほしいと思う、1冊なのだった。