霜の朝
2009/5/11 月曜日 – 10:23:43
書名:霜の朝 (新潮文庫)
著者:藤沢周平
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
11の短編から成る。
なかでも「虹の空」が泣ける。
あらすじはこうだ。
継母に育てられた主人公政吉は、おかよと所帯を持つ約束をし、新居の目星を付けた。
所帯を持つと成ると、継母とはいえ、母のおすがを引き取るべきかと悩んでいる。おかよにはその気がない。
いろいろあって、結局はいっしょに暮らすことになる。
この陳腐な筋も、藤沢周平にかかると、ほんのりと人情のただよい、泣けてくるいい話になるのだ。
うまい!と思う。
「報復」もいい。
詰め腹を切らされた主人のために、下男が報復をするのだが、剣豪でもない下男の松平は、いったいどうやって報復を果たすのか?
うまい!と思う。
ほかの小説は残念な出来なのだけれど、この2編だけでも1冊分の価値がある。
と思う。