夜光の階段

2009/1/19 月曜日 – 14:45:57


書名:夜光の階段 (上) (新潮文庫)
著者:松本清張

自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。

恥ずかしながら「栄光の階段」という書名と思って読んでいたのだった。
主人公の佐山は美容師として、独立して有名になっていく話しなのだ。
松本清張にしては珍しいなと思いつつ読んでいったのだが、どうもいつも通りの「悪いやつがのし上がっていく」話しなのだ。
これは「栄光」じゃないだろうと思って、カバーを見直したら、「夜光」だったというわけだ。

ぼくなんかが作文を書いたりするときは、タイトルにそれほどこだわりはなく、テキトーにつけることがある。
しかし、プロの小説は違うんだなと思った。書名には意味があるのだ。
その当たり前のことに、上巻1/3ほどのところで気付かされた小説なのであった。

しかし、さすがは松本清張である。
悪いやつがのし上がっていく、そんな単調なストーリーではないのだ。

1stワルの佐山に続いて、幸子が2ndワルなのだ。そして被害者は、男だか女だかわからない容貌のしかし内面は純な女のフジ子。
さらにそこに男社会で働く女性の立場の悲哀もおり混ぜている。
雅子と幸子とフジ子。
悪者であり、被害者であり、その遠因が男社会に生きていく女の生き方にあるのかもしれない。
そこにも光が当たっているような気がしてならない読後感だった。

チョイ上の自分史わたし本なら文研ビズ

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